本日、外交部会は太平洋島嶼国政策検討PTを立ち上げ、第一回目の会合を開催した。講師として、笹川平和財団の塩澤英之主任研究員にお越しいただいた。
本PTを立ち上げた第一の理由は、大いなる危機感から来ている。中国とソロモン諸島との安全保障協定に見られるように、このままでは中国が経済支援を武器に太平洋島嶼国の弱点につけ込み、その覇権主義を拡大する動きが止まらなくなる。このままでは法の支配に基づく、自由で開かれた海洋が保てないという強い危機意識を持っている。
中国から見ると、南太平洋島嶼国の先には米国の脆弱な下腹部と言われる中南米があり、仮に「一帯一路」が太平洋島嶼国から中南米につながる場合、戦略環境は大きく変わる。実際、2019年に中国は、経済支援を武器に、台湾からソロモン諸島とキリバスとの外交関係を断絶させ、台湾の政治的空間を狭めさせた。また、仮に第二列島線や第三列島線の間の島々に中国軍が使える3千メートル級の滑走路や軍港ができれば、ハワイやグアムへもその側背から影響を及ぼすことができ、それは米国の対中包囲網の弱体化につながる。その意味でも、太平洋島嶼国は重要な地域といえ、経済、外交、安全保障の観点において、太平洋島嶼国地域の重要性を高めていく必要がある。
本日の会合では、対太平洋島嶼国ODA(政府開発援助)強化や気候変動対策、防衛協力等の連携について議論し、また、2023度予算編成に向けて、今秋にも政府への提言を策定していくことを確認した。今後、議員交流やご遺骨収集、漁業、鉱物外交、人材育成といった側面に加え、外交安全保障等の政策面から、クアッドメンバーに加え、ニュージーランドや台湾との連携も視野に入れた具体的な政策立案に関与していきたいと考えている。
クアッドとの連携について、5月24日に開催されたクアッド首脳会合での共同声明では、太平洋島嶼国に対する持続可能なインフラの提供、教育機会の強化等といった経済状況の向上等についても述べているが、クアッドによる経済協力の額は中国に勝てる数字ではない。そのため、クアッド4カ国、あるいは各国でチームを組むなどし、連携して中国に対抗する枠組みを作る必要があると考えるところ、検討していきたい。
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