本国会最終日となる今朝の外交部会「国連改革・新国際秩序検討PT」では、細川昌彦・明星大学経営学部教授にお越しいただき、「分断時代の国際経済秩序」と題してご講演いただいた。
最近、「地経学(Geoeconomics)」という言葉をよく聞くようになった。「地経学」とは、地政学的な目的を、経済を使って達成しようという新たな学問であり、中国の「一帯一路」も「地経学」の実践にあたるといえる。中国は、軍事一辺倒の実効支配だけではなく、同経済圏構想を通じて経済圏・情報圏を拡大し続けており、我々はその流れの中で、アフリカ、中南米、東ヨーロッパ、そして最近は太平洋島嶼国も見ていかないといけない。
日米は、ルールに基づく経済秩序、あるいは国際連携の枠組のもと、中国を意識しながら秩序を作りつつあるが、米国は日本と違い、FOIPもIPEFも「対中国」を前面に出している。日本の場合、米国とアジアの接着剤という役割もあるなかにおいて、「対中国」をあまり全面に出すことなく、いかにして発展途上国をうまく取り込んでいくか。
細川教授より、経済安保には、日米経済版2+2、米国EU貿易技術評議会、クアッド等の枠組みが存在しているが、「日欧」の経済面でのつながりを強化する必要があること(これは米国に対するてこ入れにもなる)、ASEANをIPEFに取り込む場合、アジアは「価値観」や「ルール」を押しつけられると拒否感が発生するところ、APECでも出していた「協力」というコンセプトを全面に出すべきこと、また、「経済安保」に関してはバランスが重要であり、安全保障と重なっている部分は慎重にすべきであり、技術を分野ごとに分けて、ここだけは死守するといった線引きをしっかりすること、そのためにはまず経産省と企業とが密なコミュニケーションを取ることが大事である等の話があった。
新たな国際秩序を経済の枠組のなかでいかにして広げていくかを考えていくことが肝要であり、我が国にとってどのような枠組みがよいか、しっかりと検討の上、国連改革提言に向けて歩を進めていきたい。
【佐藤正久オフィシャルブログより転載】
コメント