日台関係の象徴、台湾新幹線を巡る問題について

本日の外交部会:台湾政策検討プロジェクトチームでは、日本台湾交流協会台北事務所の元代表(大使相当)で、現在台湾高鉄顧問を務める沼田幹夫氏にお越し頂き台湾版新幹線が抱える問題について話を聞いた。

台湾新幹線プロジェクトについては、日本人と台湾人のあたたかな心の絆を描いた吉田修一の傑作小説「路(ルウ)」を、NHKと台湾の公共放送局・PTSの共同制作でドラマ化された。2007年1月から運行が開始され、台湾では多くの人に愛されて今日に至る。しかし、ビジネスとして黒字になったのは2015年で、決して平坦な道ではなかった。そして、台湾側が新規車両を検討し始めた2016年頃から、経営やビジネス手法を巡る日台間での軋轢が表面化するようになったという。最高品質とそれに相当する高価格を要求する日本側と、現地の実情に応じた品質と割安な車両で十分と考える台湾側の認識の差。沼田氏の言葉を借りると、「レクサスでいいのに、ロールスロイスを買わされる。台湾は日本の子会社ではない」との不満が台湾側に渦巻いている。結果として、台湾側が日本ではなく割安な車両を提供する欧州勢を新たなビジネスパートナーに選ぶ可能性も出てきている。

価格で双方が歩み寄ることが解決にとって重要だが、現実には交渉がまとまっていない。解決のためには、日本勢、台湾勢それぞれの努力と、日本政府が間に入ることも選択肢であると沼田氏は述べた。台湾新幹線は、元々台湾が民主化の道を歩む90年代に政治的な背景もあり始まったものである。今後も台湾新幹線が日台親善のシンボルであり続けるためには、政府として何が出来るかを具体的に考える段階に来ていると言える。

【佐藤正久オフィシャルブログより転載】

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